■第一部■ - 14- 5人目? |
「ああ、もう絶望じゃ…死んでしまうわ…」 四班の八戸夏彦(男子8番)は絶望的につぶやいた。 そりゃそうだ、考えてみればこの班は2人、どうあがいたって屈強な殺る気のある班に勝てるはずがなかった、よってかける言葉も見つからなかった。 「ねぇ、夏彦君、まだ実花ちゃんが持ってた銃、取ってなかったわよね」 はっとして、夏彦は唯一の武器がそれしかないことに気が付いた。 「分かった、ただ…」 躊躇する夏彦に 「なに?」 と松原 「俺は、死体処理業者じゃないからよ、どうもこういうのは苦手でね…」 「何、自分で殺したのに責任も取らないわけ?へぇ〜最低ね、せめてまぶた位閉じてやるとか、思いやりがないんだ…へぇ〜」 悪戯っぽく松原が喋った。 「わーった、もう言うな、やるよ、やりますよ!」 と言ってまだ血なまぐさいテントに、夏彦は入った。 (うわぁ〜死体って凄惨じゃ…目も向けられないわ…でも取んないといけないし…あーもーくそ、この国が悪いんじゃボケ)と心の中でつぶやいた。 「取ってきたで、このグロック26って銃と中にあったデイパック探って、日曜生活品と、使えそうなヤツ」 「あと…」 「ああ、まぶたも閉じてきてやったで、そうしないと怒るやろ」 二人は重苦しい空気を乗り越えようと必死だった。 「ほい、パン食えるか分からんけど、食えそうだったら食べてみな、腹へったやろ」 やさしく声をかけた。 この夏彦と言う男は、決して顔はよくなかったし、言葉もどこかおかしい大阪弁だった。 でも、人一倍…それ以上に人に対して優しかった、こういったところが、他の男子と一つ違った「魅力」を持っている男だった。 そういった点では奥も「あいつのギャグセンスはここらじゃありえねーな」とほめていた。 だから自然と松原を落ち着かせようとするし、まったく無作為に彼の優しい言葉は出てくる。 「なぁ、松原…お前さ、もし脱出できたらさ、どうしたい?」 「え…お墓、お墓に行きたい、クラス全員の!」 松原も明るく振舞おうと必死だった。 「墓かぁ〜う〜ん、全員分の花とか持っていったら、お金かかるやろ、俺めちゃくちゃケチやで」 「そんなことはないよ、ただ拝むだけでも、それはそれでいいと思うよ」 「でも…一番大切なことは、この狂ったゲームを二度と忘れないで、この悲しい思いを、絶対に忘れないことだと思う」 「何でや、悪いことは忘れたほうがええやろ」 「違う―絶対に! 忘れて自分の何になるの?何のために生きていくの?人殺しって言うレッテルを貼られて、生きて行きたいわけ?」 「う…そうだな…でも、でもな、生き残れるかも分からん状況で、こんな話をするのもあれや、どうやって生き残るかを話そうぜ」 「ま、まぁそうだよね、誰なら信用できる?」 「そうやな、及川 将とか…奥寺 隼人…それに…川津・奥…う〜ん」 「こんな状況で、及川君とか奥寺君みたいな脳みそまで筋肉みたいな人を入れるの?役に立つかしら?」 「そんな現実的な話をするなって、信用できるやつやあいつらは、奥や川津はどうなんや?」 「彼らは、それなりに頭がいいはずでしょ。」 「ま、まぁそうだけども…そうだ、奥なら何とか何か思いつかないかな、及川とか隼人…奥と川津が組めば強いのになぁ〜」 「筋肉馬鹿と超消極的作戦家が組むのね、面白いね」 二人の会話に希望が見えてきた。 「おいおい、奥は腕っ節も強いぜ、なんせ…ほらあれだよ、あったじゃん、あのこと」 「ああ、あれねビックリしたわ、あそこまで奥君が怒るなんて…はじめて見たわよね」 「まぁええわ、さ、行動開始や!」 ・ ・ ・ ・ 「痛ったー!本当に当てやがったな…」 「Are you, and is aging really shot?」 (訳 おいおい、本当に撃つのかよ?) 「Wait, and only the hole opens to the ear it, and I think it is welcome will kill in the schedule. 」 (訳 待てよ、予定じゃ殺すつもりだぜ、それが耳に穴開いただけだ、ありがたく思え。) 「I'm sorry for ..encounter.. , thank you in reality is useless if it doesn't say. 」 (訳 あ、ごめん、本当はありがとうって言わなきゃだめだよね) 「I am an inborn British gentleman, and it is not for and either the person doesn't kill anxiously.」 (訳 気にするな、俺は生まれつきイギリス紳士さ、用もなく人は殺さない) 「,, and we are "Companion. "」 (訳 そっか、じゃぁ、僕たちは「仲間」だね!) 「Of course, when a guy bold like you is a mate, it is glad. 」 (訳 もちろん、お前ほど度胸のあるヤツが相棒だとうれしいよ) 「Really … Roberts was the same easily. 」 (訳 本当に…ロバーツ君が仲間でよかった) 「By the way, … Does the escape have any hope?」 (訳 脱出って…何か希望があるのか?) 「...floatage.. ?If it is, and him … Do you understand?」 (訳 彼なら…何か分かるかも) 「Who is he?」 (訳 彼ってだれ?) 「Oh. It is Oku. 」 (おお、奥君だよ) 「Ah.That is Able person」 (訳 ああ、あの頭の切れるヤツな) 「It is so, and it a personal computer good, too anyway terrible guy. 」 (訳 そうだよ、パソコンも得意で、とにかくすごいヤツなんだ) 「...the confirmation of arms of this group first of all.. so」 (訳 そうか、まずこの班の武器を確認しようぜ) ・ ・ ・ ・ 「ふう、もう夜か…暗いな…」 川津は幾分疲れた表情で話し始めた。 ガサ…ガサガサ…「伏せろ!」奥の怒号が響いた、しかし次の瞬間には、鉄の固まりが飛んできた。 「ズダダダダダダ」…(チッ…もう戦闘かよ、幾分俺は場慣れしているとはいえ、川津・風見・成川は!どうなるよ、俺が行くしかないのか―!) ほんの1秒に満たない時間であったが、奥は戦況を推理して、最良の策を考えていた。 (どうする、第二撃がきてあたったら…御陀仏か…くそ、川津に後方支援を頼むか…コンバットナイフが幸いある…行くしかない!) 「川津!俺の後ろから射撃してくれ…俺に当てるなよ!」 (頼むぜ川津…お前次第だ…この作戦は) 地面を這う様なような格好で奥は相手のほうに切り込んで行った、そして… (足だ、これは…男か!二人…女子は?…待てよ…上を見るか?銃を持ってるのは…一人しかも真代―だとすると及川は?離れてみているのか?じゃぁ…) と考えてるうちに、及川の声らしきものが響いた。 「待てよ公正!奥や川津に敵わないだろ!止めようぜ」 「やだよ!殺されたくないんだよ!いっそお前も死んじゃえ!」 「ダララララ」 (うっ…及川!無事でいてくれ…今助ける!) 「ウラァ!」 「何だ!」 地面を転がるように奥は真代の足元に飛び込んで行った。 「ザクッ」奥には確かな手ごたえがあった、しかしそれが致命傷を与えているかは疑わしかった。 「痛ぁ!!」 真代が悲鳴を上げる 「誰だ!この糞野郎!」 「俺だ!落ち着け、仲間同士で戦って何の利がある!よく考えてみろよ…」 奥は呼びかけるように喋った。 「お前に俺の何が分かるんだぁ!」 その瞬間無機質な「鉄の塊」が飛んできた。 (クッソォ)声にならない声を上げて、奥は横に飛び込んだ、そしてその動作の中で、デザートイーグルを撃ちはなった。しかしその瞬間奥の右腕にも、ただならぬ衝撃が襲った。 「ズガァーン」デザートイーグルのマグナム並みの銃弾が真代の心臓を襲った、そして風穴が開いた― 「ハァハァ…しびれてうまくうごかねーぞ…おい、川津」 奥がしびれてうまく動かない右腕をダランとぶら下げて、真代のほうを見た。 「真代は?」 と奥が聞いた。すると川津が 「死んでる」 と怯えながら答えた。 「おいかわぁ!生きてるか?おいどこだ?返事をしてくれよ」 川津が必死に探す。 「ここだぜ…ハァ…目の前で人が死ぬとは…クソ!」 「おい、及川大丈夫か?俺はお前を殺す気ははない、だから撃たないでくれよ」 「おいおい、佳祐待てよ、俺銃なんて持ってないぜ?」 「そうか、なら話を聞いてくれるな…ひとまずキャンプに入れ!」 寄せては返すように、人の死は訪れる…次は誰の番? |
死亡 | 男子10番 真代 公正 |
銃殺 |
【残り 28人】 |
ノンフレーム目次 |