■第一部■  - 12-約束〜for you〜






カタカタカタカタ…
奥がPCの画面とにらめっこをしてもう1時間も経つ。
もう止めたらどうだ、と言おうとした瞬間奥が
「あーもう止めたわ、なにもないし」
と言って、横になって倒れこんだ。
その瞬間川津はふと奥の特有と言うか香水のにおいがかすかにした。
そして奥の家に行った日を思い出した。
確か…普通の一軒家だったな…奥一人で住んでるんだっけ、親父さんと母親が早くなくなったせいで政府の保護生活を受けていたはずだな、ま、それはそれで奥自身も「自由でいいぜ、髪染めても怒る人居ないし」
あと部屋には色んな物があったなぁ、コレクションとか言って、香水がやたらあったり数少ない外出の機会である、競馬に関しての本とか少ない趣味のギターの雑誌や。
そうそう、ギターもやたら持ってたな、何か「それはギブソンのレスポールJrで59年製、その隣はフェンダーのストラスキャスターで55年製だよ」と俺が聞いてもわからないことを言っていたな。
そうだ、奥は数少ない親戚のお祖父さんが居たな、確か田舎で骨董店をやってるとかなんだか。
しかしただのじじぃじゃないぜ、と奥は言っている、知識の幅が広いらしい、それは奥も似たようなものだが…
とにかく、親友の俺でもよく分からなかったりしている人である。
まぁそれはそれでいいが、2年の夏、奥は突如居なくなって、しばらくして帰ってきた。
理由を聞こうとすると、「じぃさんのところいってた」とかと言ってはぐらかされてしまう、この点奥の方が上だったなぁ…

「おい、何ぼーっとしてんだ?」
と言われようやく回想の世界から抜け出した。
「俺が倒れて死んだかとおもったのか?」
川津は首を横に振った。
「なぁ、お前ら俺が死んだほうがいいと思ってるんじゃないのか―」
意表をついたこの言葉に誰も反応できなかった。
「よくルールを考え直してみな、たとえば4人が生き残ったとしよう、そうすれば誰かが死ぬんだぜ。じゃぁ、その前に親族の居ない俺が死んだほうがいいんじゃない?と考えてはいないか?」
「それは…違うと思うよ、だって私たちには佳祐君を殺す権利なんてないし、第一佳祐君を殺したところでこの班に利はないよね」
風見が述べた。
「ありがとう、風見の言ったことが本音かどうかは知らないが…俺はお前らを守るよ、たとえ俺が死んでも俺はお前ら守る…絶対だ、これは約束する。」
「何で?」
と川津が聞いた。
「今は喋る必要があるのか?」
と奥。
「いいじゃないそれで、佳祐君が私たちを守ってくれるってこんなに頼もしいことはほかにあるのかな?」
「ないさ、I had to have defended you, and seem to have been born like that.
     アイハドトゥハブディフェンテッドユー、アンドシームトゥハブビィーンボーンライクザット。
     俺はお前たちを守らなければいけない、そのように生まれたようだ…ってな。」
「デモね…佳祐君一言余計だよね、呼春ちゃんが言ったことが本音かぁ?って」
「ま、いいじゃねぇか、俺は俺でもともと口が悪いのさ…」

Lookin for you
どこまでも続く世界から抜け出せたなら―そうこのゲームはどこまでも続く…



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