■第二部■ プログラム編 - 7 - 結成!立花組 |
「は〜い、ただいま午前6時で〜す。みんなぁ元気にやってるかあ?寝ていたやつ起きろぉ。新たな脱落者がでてま〜す。女子4番 藤林 陸・・・これだけですね。このクラス少ないのに死ぬの早いねぇ。誰か殺し回っているのかなぁ。では禁止エリアになったのはB6、E8、F1、G4、H6です。次回の禁止エリアは・・・A7、D1、E5、G3、H8です。みんなぁ禁止エリアだけは気をつけろよぉ。またなあ〜。」 (誰か殺し回っているだと。そんなバカな。) 立花 陽平(男子7番)は「誰もそんなことはしない」そう思いたかった。 (全然寝た気がしないな。くそぅ、俺が寝てる間にもクラスの皆は死の恐怖におびえているのに。) 陽平は何もしてやることができない自分がふがいなかった。 (でも俺は政府に抵抗すると決めたんだ。そのためには仲間を集めなければ。) 陽平は禁止エリアに気をつけながら朝焼けの道を歩いていた。 その時、向こうの草むらがカサカサを揺れた。 (誰か近づいてきているのか・・・誰だろう・・・警戒するに越したことはない) 陽平は腰に挿していた刀(三十六文字派生)を抜刀し構えた。 そしてその草むらから見覚えのある少年がでてきた。 「け、健ちゃん!?」 陽平は思わず大声で呼んでしまった。 その少年もその声に気付いたのかいきなり手に持っていたボウガンで狙撃してきた。 「うわっ!?な、なんだぁ!?」 「その声はもしや・・・陽ちゃん!?ごめんいきなり攻撃して」 狙撃した少年は武車 健太(男子10番)だった。 「危なぁ〜間一髪だった。」 健太の撃ったボウガンの矢は陽平の隣の木に刺さっていた。 「相変わらず陽ちゃんの反射神経には右に出る者はいないね。」 「当たり前だ。剣道界の怪童 立花 陽平をなめるなよ。」 二人は吹き出だしながら笑った。そして同時に 「会えてよかった。手を組まないか?」 見事にハモってしまった。 これ以上彼らに言葉はいらなかった。 冬野 美春(女子5番)は民家地帯の一軒の家の中にいた。 彼女はクラスでも目立たない人間で唯一話をしている人は二宮 歌音(女子3番)くらいだった。 「歌音さんは大丈夫かなぁ。でもあの子にはいいお兄さんもいるし心配しなくてもいいかな。」 美春はそう自分に言い聞かせて気分を誤魔化そうとした。 (私はこのまま死を待ち続けるだけなのかしら・・・そんなのやだよ。まだいっぱいしたいことあるのに) 美春のしたかったこと、それは保育士になることだった。 保育士になって子供の面倒を見るのが夢だ。 実は美春は大の子供好きでクラスでも密かに花を飾ったり、保健委員としてクラスの面倒も見ていた。 つまり簡単に言うと「世話好き」というものだ。 (そういえば五十嵐くんはよく保健室にきていたっけ。彼は野球すごく熱心だった。あんなボロボロになるまでよくしていたなぁ。できるならあのころに戻りたい。) そう思っていた矢先だった。 カンッコロッ、コロコロコロ。 美春は自分の目を疑った。 (手榴弾!?もう栓抜いてるじゃない・・・い、いや死にたくな) バ〜ン!!!!!!! 離れ島の簡単なつくりの建物は爆音と共に一気に消え去った。 そしてその建物の中心に死体が一体転がっている。 (これじゃあ誰か分からないな。こいつの武器はっと・・・なんだこれ?フライパン?ふざけんなよ。) 五十嵐 慶吾(男子2番)は半分キレていた。 慶吾はまた歩き出した。美春の断腸の思いも知らず。 そのころ陽平はのん気に寝ていた。健太が護衛をしているので安心だったからだ。 (まあ俺は5時くらいまで寝てたから大丈夫だが・・・) 健太はいざ攻撃されて反射的に戦闘を避けることができるのか心配だった。 陽平はスースーと気持ちのよい寝息を立てていた。 (いい寝顔じゃないか。俺の気持ちも知らずによ。) 「おい!」 急に誰かに声をかけられた。健太はビックリしてボウガンのグリップを握った。 「誰だ。」 健太は後ろを向いたままだった。なぜなら彼の首には刀身が向いていたからだ。 健太は冷や汗を掻いていた。人生においてこれだけ冷や汗を掻いたのは初めてだった 「あたいだよ。柳生。」 健太に刀を向けたのは柳生 美穂(女子8番)だった。 「何の用だ。殺しに来たのか?」 「まあそうとも言えない。そこに寝ているやつに起きたら伝えてくれ。{今日の午後3時 夢の海岸}で決闘を申し込むと。」 「なんだと!?」 健太は心の奥から湧き上がってきたものぶつけた。 「お前陽ちゃんを殺す気か!?」 「そうだよ・・・あたいはこいつ殺さないと先に進めないんだ・・・」 「お前は陽ちゃん殺した後どうする?ちゃんとそれも考えているのか?もしかしてゲームに乗ったのか?」 「違う!あたいはこんな馬鹿げたゲームなんかに乗ってないよ!」 「じゃあどうして陽ちゃんに決闘を申し込んだんだ!」 「それは・・・・・・・・」 「そんなことを考えるのはやめて陽ちゃんのメンバーに入って一緒に逃げる方法考えようぜ。」 それから少しの静寂があった。 「う、五月蝿い!」 美穂は再び刀に力を込めた。 「あんたなんかにあたいの何が分かるっていうの?」 「何にも分からねぇよ。お前のことなんか。」 「伝えることは言った。絶対こいつに伝えときなさい。」 「どうしてもか?」 「そう、どうしても。」 「お前と陽ちゃんが恋人だったら分かりあえてたか?」 「え?」 またも短い静寂。 「そうかもしれないね。」 美穂は刀を納めて全力疾走してその場を去っていった。 (そんなこと考えたことなかったな・・・そうだったらよかったのにね。) 「思い」それは相手には通じないもの |
死亡 | 女子5番 冬野 美春 |
爆殺 |
【残り15人】と井上 和男 |
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