■第二部■ プログラム編 - 4 - 全員出発 |
「次ぃ〜男子7番 立花 陽平」 (くそっ、みんないってしまったか。俺は何をしていたんだろう。) 立花 陽平(男子7番)が色々考えている内に他の連中はでていってしまったようだ。 「立花!はやくしなさい。あとの人がつかえるでしょう。」 山本(プログラム担任)はイラつきながら言った。 (ムカついてるのはこっちだっての!) 陽平はバックを持つ兵士のほうへ歩いた。 そして 「俺はこのふざけたゲームをぶっ潰す。政府もろともな!誰かついてきてくれる人がいたら声をかけてくれ。」 「陽ちゃん、俺はすぐ追いつくから死ぬなよ。」 武車 健太(男子10番)は力強く言った。 「俺がそう簡単に死ぬはずないだろ。信用しろ。委員長かつ剣道全国二位を甘く見るなよ。」 陽平はそう言って闇の中に消えていった。 「反政府の生徒か・・・楽しみだな。次ぃ〜女子3番 二宮 歌音」 二宮 歌音(女子3番)は今にも崩れそうだった。 「兄さん、わたし・・・怖いよ。」 「大丈夫。絶対追いつくから絶対にだ!お前を一人にはさせないから。」 二宮 信人(男子8番)は言った。 歌音はうなずいて走っていった。 「双子かぁ。ふ〜ん、そうはみえないなぁ。次ぃ〜男子8番 二宮 信人」 信人は山本を睨みつけた。 「歌音になにかあったら。化けてでて殺してやる。」 バックを持って走っていった。 「死をも覚悟しているということかぁ。次ぃ〜・・・」 (なんなんだあいつら2人。なにか難しい事情でもあるのかぁ?) 健太は全然理解できなかった。 (大輔くん・・・もうすぐ私の番がまわってくるよ。ねぇ、どうしてあんなこと言ったの?あれじゃあまるで・・・ もう一度会いたいなぁ大輔くんと) 鷹山 空(女子1番)はそう願った。 小宮山 大吾(男子5番)は発電所に着いていた。 (今PCが使えそうなのはここしかない。あと少しでハッキングプログラム「DAIGO」が完成する完成したらあいつらにどか〜んと一発お見舞いしてやる) その時後ろに物陰が見えた。大吾は無視することにした。 (大丈夫だ。俺には大当たりのベレッタM92Fがある。) 「あたしよ、あたし。どうしてそこで無視するかなぁ。」 大吾は間違いなく和久井 優子(女子9番)を見た。 「和久井さんかぁ。どうした?俺になんかよう?」 大吾は背中に挿している。ベレッタを握った。 優子もなにか隠しているものを握った。 「武器は出さないであたしはあんたを殺しに来たわけじゃないの。ちなみにあたしの武器はこれ。」 優子には似合わない馬鹿でかい銃がでてきた。 「あたしは大当たりの銃「デザートイーグル50A.E.」これ威力大きすぎてあたしには使えないと思うけど。」 「で、なんのようだ?」 「そういうあんたも何しにきたのよ。」 「俺はもちろんこれだ。」 大吾はPCを持ち上げて見せた。 「ふ〜ん、なんか面白そう。あたしも見ていい?」 「こんな状況で面白いって・・・まあいいか。じゃあ手伝ってくれ。」 「了解、メガネ大佐。」 「メガネ大佐は余計だ。」 (和久井さんって分からない人だなぁ) 大吾は思った。 「この武器はあたいの為にあるようなもんだねぇ。」 柳生 美穂(女子8番)は思わず独り言をしてしまった。 なぜなら彼女の武器は・・・・日本刀(無銘)だった。なかなか切れ味の良さそうな刃を持っていた。 そして美穂は一振りしてみた。 ビュッという風をも断ち切れそうな鋭い振りをしてみた。 (この手の刀は家でも毎日振っているから大丈夫だろう。これであんたと決着がつけられるね。) 美穂の家は江戸時代に栄えた「柳生流」の分家だった。 今でもその伝統を守るため美穂は毎日真刀を振らされていた。そして剣術の一環として剣道をしていた。 でもそこには大きな壁があった。それが立花 陽平だった。そう、彼以外に敵となる人物はいなかった。 いつも勝利が当たり前だった。でもそこに彼が現れた。何度向かっていっても勝てなかった。 だから美穂は考えた。この場所なら彼と本当の意味での決着がつけられると。 (陽平・・・あんたには負けないよ。あたいの全身全霊をかけてね。) 「次ぃ〜女子1番 鷹山 空」 空はおずおずとバックをもって言った。 「武車くん、わたしどうしたらいいかな?」 「う〜ん・・・とりあえず自分の今しなければならないこと優先すればいいと思うけど・・・」 健太は返事に困った。 (何をいえばいいか分からねぇ。) 「そうだね、色々考えてみるよ。武車くんも気をつけて。」 「おうっ。」 空は闇の中へ消えていった。 「あと二人かぁ。次ぃ〜男子10番 武車 健太」 健太は山本を睨みつけ 「背中に気をつけろ。政府の最初の犠牲者はお前だ。」 「それはどうも」 健太は思い切り走った。 「次ぃ〜男子11番 山下 達也」 山下 達也(男子11番)は無言で消えていった。 「はいっ、井上先生出てきてください。」 井上 和男(3−1担任)はドアからでてきた。 「子供を殺せってのは少し酷かもしれませんがあなたがここにいるのが奇跡のようなものです。それを忘れずに。」 井上はとことこと教室をでた。 「こちら山本。午後6時、3−1全生徒と担任出発いたしました。」 「ごくろう。持ち場に戻ってくれ。」 「了解。」 陽平は持ち物の確認をすることにした。 (なにかないのか・・・んん?これは) 陽平は何か長いものを引き当てた。 日本刀だった。名前も知っているものだった。「三十六文字派生」という刀だった。 (これは何かの縁だろうか・・・嫌な予感はまだ続いていたし・・・) 陽平はまた思考モードに入った。 武藤 瑠璃(女子7番)と前田 菜々子(女子6番)はともに行動していた。 瑠璃はメリケンサック、菜々子は軍用ナイフだった。 「ねぇ、これからどうするの?」 菜々子は言った。 「わたしだって分からないよ、そんなこと。いきなりのことで頭の整理がついてないのよ。」 瑠璃は言い返した。 「ごめん変な事聞いて・・・愛子に会えるといいね。」 「そうね・・・でもあの子番号が離れてたから会うのは難しいかも・・・」 「そんなこと言わないでよ・・・まるで・・・」 「まるで何?いちいちうるさいわねぇ。静かにしないと他の連中に見つかるでしょ。」 「うん・・・ごめん。」 「今度から謝るの禁止。」 二人とも思わず笑みがでた。ここにきてから一度も笑ってなかった。 その時だった。 ドッ・・・瑠璃の背中になにか刺さった。痛みが急に襲ってきた。 「い、いたああぁぁぁ!!!」 声にならない声で瑠璃は叫んだ。 ドッ、ドッ、さらになにか物体が2つまた刺さった。 菜々子は確認した。瑠璃の背中に斧と2本のナイフが突き刺さっていた。 「い、いやぁぁぁぁ!!!」 菜々子は大声で叫んだ。そして誰かが去っていくのが確認できたが瑠璃の状況確認を優先した。 「大丈夫、瑠璃!」 「だ・・はぁ・・じょ・・ぶ・・なわけ・・・ない・・はぁ」 もはや何を言ってるのか分からなかったが菜々子は耳を傾けることにした。 「さい・・ご・・に・・いい・・はぁ・・た・・か・・た・・ありが・・と・・・・」 瑠璃は息を引いた。おびたただしい血が流れでていた。 「瑠璃・・・こっちもだよ・・・ありがとう」 菜々子は亡骸となった瑠璃を抱きしめた。まだ温かかった。 (絶対に許さない。あの影を見つけ出して殺してやる) その時足になにかぶつかったので確認した・・・手榴弾だとすぐに分かった。 (そ、そんな・・・わたしこんなとこで) ものすごい音をたて、明るい光が森の一部で広がった。 そして投げた本人の五十嵐はまだ熱い前田と武藤の死体をひっくり返し、武器をとった。まだ少し暑かった。 (ふむ、手榴弾の威力がこれほどとは・・・メリケンサックにナイフかぁ。頼りにならないがないよりマシだろう。さっきの影は誰だったのだろう。まあいずれ会うだろう。それにしてもグロいなぁ) 2人の皮膚は焼けただれていたのでとても見ていい気分になるものではなかった。 大輔は走って逃げていた。 (ちっ、武器奪えんかったかぁ。トマホークも2本のナイフもなくしたし、つらいとこやなぁ。まあええか。 しゃあない、気にせんとこ) 一筋の光。それは開戦の狼煙。際は投げられた。 |
死亡 | 女子6番 前田 菜々子 |
爆殺 |
女子7番 武藤 瑠璃 | 刺殺 |
【残り17人】と井上 和男 |
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