■第二部■ プログラム編 - 20- 先生と生徒






「今は正午12時ですよぉ。新たな退場者でぇ〜す。男子2番 五十嵐 慶吾 女子1番 鷹山 空 3番 二宮 歌音 9番 和久井優子です。あとぉゲストも入れて6人ですよぉ。禁止エリアF7、G6、7、8です。次回のエリアはD2、E2、H3、4です。あと12時間だぁ。そして自分以外は5人だけだぞぉ。しっかりがんばれぇ。じゃあなぁ!」

<D7>
(ちょっと待てあと6人だと!?)
武車 健太(男子10番)は自分の周りを確認した。
ここには先生、陽ちゃん、柳生さん、成本さんと自分、合わせて5人だ。
健太は慌てて
立花 陽平(男子7番)が苦しみに満ちた顔で印を生徒名簿に付けているものを引っぱった。
「なにすんだよ、健ちゃん。」
「ごめん、ちょっと待ってくれ。」
健太はマジマジと生徒名簿を眺めた。ずいぶんと線が引かれていた。
(もうこんなにいなくなってしまったのか?信じられねぇ。いやっ、そんなことより。)
健太はもう一度確認し直した。間違いない!
「おい、俺ら以外の生き残りって・・・江井原か!?」
「そんなの見たら分かるだろ。あいつは少なくとも一人は殺している。そうじゃないとおかしいからな。」
「ええ?どういうこと?」
井上先生(3−1担任)を中心に円を描くように座っていた。すごく寒く感じた。
その問いに先生が答えた。
「つまり、私達は殺しをしていない。で、残りが私達(5人)と残り1人。つまり江井原くんは誰か最低1人は殺していないと生存がありえない。運よく逃げ切ったという考えもできないこともないがその可能性は0に等しい・・・分かったかな?」
「そういうことか・・・」
「つまり、江井原は人を殺している。ヤバイってことだよ。」
柳生 美穂(女子8番)が付け加えた。
少しの静寂があったがすぐに先生がまとめた。
「そんなことを考えていても先には進めない。まずは武器の確認だ、皆自分の武器をだしてくれないかな?」
皆が武器を出し合った。
陽平と美穂は日本刀。健太はボウガンとさっき拾ったベレッタM92F(残り3発)
成本 愛子(女子2番)はおそらくハズレである折り畳み傘、先生はとても大きい銃だ。
「これはトンプソンM1A1だ。アサルトアイフルのひとつで威力は抜群だ。では武器を分けよう・・・こうするのが一番かな?」
陽平と美穂は引き続き「刀」だ。健太はベレッタM92F、愛子はボウガン、先生はトンプソンM1A1だ。
「成本さんはいい武器に恵まれなかったから仕方ない。じゃあ私の作戦を教えよう。」
皆が息を呑んだ。どんな作戦なのだろう。
「このプログラム、実はとても簡単な仕組みになっている。私が調べたから間違いない。この首輪があるだろう、これは位置を確認するためのものだ。私達の国は七原態勢に入ってから武器の開発は行われていないんだ。つまりこの首輪は昔使われていた首輪とまったく変わっていない。というより開発できなかったというのが正解だろう。そこでその弱点を突く。」
「弱点?なにそれ?」
「つまりこの首輪を支配している・・・そういえばこれ盗聴されているんだった。危ない危ない。」

<分校メインコンピュータルーム>
「以上はないか?」
山本が確認にきていた。
「はっ、以上ありません。彼らが不審ことを言っていますが。」
「なぁ〜に心配には及ばん。お前らは自分の仕事を全うしておればいいのだ。」
「はっ!」
(絶対に分からないはずだ。そんな過去の産物を使っているとは思いもよらんだろう。)
山本は少し心配になったが気にしないことにした。電話がなった。
「はい、山本です。はい、順調でございます。えっ?ああ、彼ですか?まだ生きてますよ。はい、はい、はい・・・・・・・
なるほど。だから彼を選んだのですか・・・彼があの「白銀の獅子」でしかぁ・・・髪が白いと聞いたのでてっきり別人かと。
分かりました。私に失敗という二文字はありません。総統が一番お分かりになっているでしょう。ではでは。」

先生は取り出した紙に書き出した。
(つまりこの首輪を支配しているメインコンピュータに入り込み、壊せばいい。簡単だろ?)
陽平が書き出した。
(簡単なのはけっこうですがどうやってメインコンピュータに?小宮山はもういませんよ。)
(ふふふ、あなた、わたしのことを甘く見ていませんか?もちろん私がします。)
次は健太が書き出した。
(先生できるの?)
(もちろんだ、だったらこんな話はしない。でも肝心の入り込むためのコンピュータがない。あと無線が使えないと効果は発揮できない。私達がすることは2つ。コンピュータを探す、無線を手に入れる。)
美穂が書き足した。
(つまり、二手に分かれて探すということですか?)
(そういうこと、立花くんと私で分かれよう。私は一人でも大丈夫だから、他の皆は立花くんといてくれるかな?)
皆が首を縦に振った。そして最後に愛子が付け足した。
(そんなこと知っているなんて・・・先生何者?)
先生は返答に困ったが書き加えた。
(それは終わったら話するよ。)
「では、行動開始だ。僕は発電所のほうでコンピュータを探すから、あなたたちは無線になりそうなものを探してくれ。3時間ごとに確認を取りたいので次に会うのは午後3時にF6の民家地帯だ。皆、死ぬなよ。」
「分かりました。」
そして先生と再び別れることになった。

(おお、今動きがあったみたいやなぁ・・・そろそろわいも動かなあかんなぁ。)
江井原 大輔(男子3番)は探知機を見て点が4:1の割合で分かれていくの確認した。
(まずはこの4人や、あと5人や。空ちゃんのためにも最後までやらなあかんなぁ。)
大輔はもう不要となったバックを捨て、武器だけで走った。
大輔の所持武器はP−90、軍用ナイフ(1本)、スローイングナイフ(1本)、エクスカリバー(剣)だ。
P−90は満タンに近いのでまだ大丈夫だ。




   
運は誰に向いているのだろう?そんなことは誰にも分からない。




【残り 5人】と井上 和男


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