■第二部■ プログラム編 - 19- kill me! |
「わいと心中してくれへんか?」 江井原 大輔(男子3番)からの思わぬ返答に空は困った。 今さっき生き残って欲しいと思ったばかりだったからだ。 どうしてそのようなことをいうのか。 鷹山 空(女子1番)にはまったく理解ができなかった。 「わいとやったらいやか?じゃあ。」 大輔は自分の持っていた銃(P−90)を空に渡した。 空には重いものだった。銃そのものが重いというのもあるがこれが殺人の為に使われると思うと余計重たく感じた。 「それでわいの心臓を打ち抜いてくれ。わいには・・・空ちゃんを殺すことはでけへん。」 大輔は空の目の前に立ち、撃たれる準備をしていた。 空はどうすればいいか分からなかった。 ぐずぐずしている空を見て大輔は 「もうわいは愛する人を失いたくないねん・・・分かってくれ。」 空は大輔の頬を思い切り叩き、声を震わせながら言った。 「大輔くんは無責任だね。わたしを愛してくれているならどうしてわたしに殺させようとするの?」 大輔は初めから分かっていた。空にそんなことができるわけがないと。でも一応頼んでみた。 空と話すことで自分がいままでしてきたことが悪いということがどんどん分かってきた。 本気になってぶつかることができる相手それを初めて見つけた。 しかしその相手は自分の最後の願いを聞き入れてはくれなかった。 空に殺されるなら未練はなかったのに。 「じゃあわいの最後の秘密みせたるわ。」 大輔はいきなりカッターシャツを脱いで半裸状態になり、自分の背中にナイフをあて少し切った。 そして皮膚を思い切り破った。中には銃弾の生傷や刺傷、切傷など多数の傷があった。 「いままでわいは人工皮膚で傷を隠してきた。これが最後の秘密や。」 空は声も出なかった。皮膚がめくれるのでも十分グロテスクであるのに生傷まで見せられたのだ。 大輔から放たれる危険な匂いはこれだったのだ。危ない何かをしていたのだ。 「大輔くん・・・そんな傷の話わたしには・・・」 「当たり前やろ、そんな話できるわけないやん。そんなん話したら・・・わい・・・嫌われる・・・怖かったんや。」 空ははっとなった。大輔も同じだった。自分が傍から離れるのが怖かったのだ。 自分に怒りたくなった。身近にいながらそんなことも分かってあげることもできなかった。 やはり自分は大輔には何もしてあげられなかったのかもしれない。 逆に自分が大輔に甘えていたのかもしれない、そうも思えた。 初めて自分だけを見てくれる人をみつけた。だから心が舞い上がってしまっていたのかもしれない。 いつも自分の居場所を与えてくれた、そして優しく接してくれた。大輔は苦しんでいたのに。 そんな人が自分と一緒に死んで欲しいと言っている。見える優しさしか与えることができなかった自分と。 空はそんな人となら一緒に死んでもいいと思った。 「私なんかとでよかったら・・・心中・・・いいよ。」 全然言葉になっていなかったが大輔には十分に分かった。 「ありがとう・・・ほんまに・・・。」 大輔は空の制服のリボンに手をかけスルスルと手際よくリボンを取った。そして制服とブラウスの第一ボタンを外した。 空の肩全体があらわになりはだけた状態になった。 空は大輔が一体何をしたいのか分からなかった。でも自分の肌を見られるのは少し抵抗があった。 恥じらう空の顔色も確認せず大輔は空の鎖骨辺りに強くKISSをした。強くKISSしたせいかその部分が赤い花が咲いたようになってしまった。空はいきなりのことでびっくりして「あっ」と甘い声を出してしまった。 「空ちゃん、そんな甘い声出さんといてや。わい・・・溶けそうになるやん。」 「ごめんなさい。」 「別にええんや・・・」 大輔はそのまま空に口付けした。今までの中で最高のKISSをした。 そして空の持っていた銃(P−90)を空の心臓付近に押さえつけた。 「わいは後でいくわ・・・すぐ追いつくから。」 「うん。」 大きな銃声が集落をこだました。そして抱きしめていた空の体の力がふっと抜けるのが分かった。 (ごめんな。わい、まだせなあかんことがあるねん。やっぱ復讐を遂げな死ねへんわぁ。わいはほんまに空を愛してる。さっきまで殺せへんと思てた。でも、わいには現世に未練が残ってるねん。だから今一緒に死んでも現世にさまよわなあかんかもしれへん。それやったら空ちゃんと一緒におれへんやん、あの世で。でも空ちゃんやったら待っといてくれるやろ?ほんますぐ行くから。) 大輔は屍となった空を小屋のベットの上に寝かせ上からさっき空が脱いだ大輔の学ランをかけた。 そして空の支給武器である探知機を拝借して電源をいれた。 ここから4エリアぐらい離れたところに5つの点があった。 (これで最後やな。こいつら全員殺して優勝したるわぁ。そして政府・・・ぶっ潰す!!政府関係者全員血祭りに上げたるわぁ。死ぬのはそれからやな。以外に長なるかもしれへんなぁ・・・その間に空ちゃんはあの世でどうしてるんやろ?はよういかなあかんな。) 大輔は探知機をバックに詰め込み、剣(エクスカリバー)とナイフ2本を腰に挿しP−90を左手に持った。 (空ちゃん・・・あの世やったらわいを・・・好きにしてええで。身も心も全部差し出すから・・・骨までしゃぶりついてくれてもええ。) 大輔は雄々しい獅子のように駆けて行った。 永遠の愛ってなんやろ?これもそのひとつかなぁ? 鎖骨へのKISS、赤い花はわいからのせめてもの手向け |
死亡 | 女子1番 鷹山 空 |
銃殺 |
【残り 5人】と井上 和男 |
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