■第二部■ プログラム編 - 2 - ルール説明






立花 陽平(男子7番)は少し寒気がしたので睡眠から覚めた。
クラスメート達はスースーと気持ちのよい寝息を立てている。
(どうして俺達は教室に戻ってきてるんだ?修学旅行に行ってたはずだが)
そう、見渡せば教室の中にいて、机が3−1と同じように並んでいて自分の席に座らせられている。
クラスメート達は少しずつ目を覚ましていく。
立花は首に異変を感じた。首輪が付いている。他のやつも同様だ。
クラスの半分くらいが目を覚ましたぐらいにガラガラとドアが開き、男と軍服姿の兵士が4人入ってきた。4人とも軍刀と実銃を装備していた。
(30代前半ぐらいのちょっとかっこいい)男が口を開いた。
「はいっ、皆さん起きてくださ〜ぃ!」
クラスの大半が目を覚ました。ある人間を除いてだが・・・
男はクラス名簿らしきものと手に取り、一人の名前を呼んだ。
江井原 大輔(男子3番)起きなさい!」
江井原は寝たままだ。いつも思うのだがやつは低血圧なのだろうか。
「3つ数えるまでに起きないと撃つよ。1〜」
男は銃口を江井原に向けた。他の生徒達は声も出ない状況だった。
「2〜、3っ・・・やっと起きましたか。ぎりぎりですよ。」
「んん?あんた誰?なんかあったん?」
男子の大半は「ほっ」と肩を落とし、女子は恐怖でこわばっていた。
男は教壇のほうへ戻り、黒板になにやら書きだした。下手な字で「山本 哲也」と書いた。
「みなさん、はじめまして。みなさんの新しい担任の山本 哲也(やまもと てつや)といいます。年齢32歳。趣味は音楽鑑賞。好きな食べ物は・・・」
「ふざけんな!なにが新しい担任だ。さっさと井上先生を出しやがれ!」
佐々木 守(男子6番)本気でキレていた。
「守、少し落ち着け。」立花は言った。
「これが落ち着ける状況か?」
「だから、落ち着けと言っているんだ。やつの周りの兵士を見ろ。」
守は言うとおりにした。4人の兵士たちは一斉に銃口をこちらに向けている。
「たぶん、こいつ等はなにか俺達にさせようとしている。それがなにかは分からないが今は落ち着け。」
「分かった。今はそうしておこう。」守は席に着いた。
「では、続きにいってもよろしいかな?単刀直入に言います。今から皆さんに殺し合いをしてもらいます。」
急に教室全体の気温が下がったような気がした。皆「まさか!?」という表情をしている。
山本は再び黒板になにか書いた。「BR」と書かれていた。
「みなさん、これを知っていますか?七原政権が始まる前にこれは実際に存在していた教育方針です。抽選で選ばれた県の代表校が殺し合いを繰り広げるものです。」

七原政権とはテロリスト七原秋也が腐った大人たちの政権を崩壊させて作った新政府のことだ。七原は新たに自分達で政権を作り、人々がよりよい暮らしができるよう努力した。結果、全国の中学生はBRを恐れなくなり学校にも通うようになり、多くの人間たちが七原を称えた。
しかし3年前七原秋也は暗殺によって殺され、典子夫人も病気で亡くなった。それから新しい政権がたつものの成功した例はなく今は混沌の真っ只中だった
(現在西暦2010年)

「では、さっそくルール説明に入りますが何か質問はありませんか?」
1人手を挙げた人間がいた。
武車 健太(男子10番)だった。
「どうして俺らが殺し合いをしないといけないのですかぁ?」
「そんなこと聞かないでください。抽選で決まったからに決まっているでしょう。このプログラムはBR1を採用しています。後はルールで詳しく説明します。あまりにもうっとうしいようでしたらゲームに降りてもらうのでそこのところよろしく。このクラス人数少ないからあんまり殺したくないから協力してね。」

「このゲームの目標は簡単です。殺しあって最後の一人になるまで戦ってください。それだけです。簡単でしょう?それから、皆さんには荷物が支給されます。その中には方位磁針、地図、食料、ライト、武器が入っています。武器はランダムです。私にも何が入っているか分かりません。後、自分の私物も持っていっていいですよ。それは制限しません。でもあまり多く持っていくと移動が大変ですよ。ってそれぐらい分かるよね?
もう1つ重要なことがありました。それは制限時間です。24時間誰も死なない状況がでますとみなさんの首についている爆弾と爆破します。3日間で勝敗がつかない時も同様です。」
立花はクラス全員が「抵抗できない」と判断したのが分かった。だれも声をかけようとしない。後、
五十嵐 慶吾(男子2番)と江井原が微動だにしていたのが気味が悪かった。普通人間はこういう状況になると動揺の色が隠せないものだ。
だがこの2人は全然それが伝わってこない。立花は背筋が凍りそうになった。
「禁止エリアというのもあります。地図を見てもらうと分かると思うのですが、後これ私の手書きね。なんせこの島地図がないものだから。」
(地図がない島なんかあるわけないだろ!!しかもなんだ夢の島って)武車はいつもツッコミが出そうなのをこらえた。
「禁止エリアは毎日4回放送します。午前0時、6時と午後12時、6時です。禁止エリアに入ったまま時間がくると首輪が爆発するので注意してください。分校は例外で皆が出て行った20分後に禁止エリアに入ります。もう1つ、2日目の午前0時にA1〜4、B1〜4、C1〜4は禁止エリアとなります。忘れそうな人はメモしてください。以上、なにか質問はありますか?」
和久井 優子(女子9番)が手を挙げた。
「では、和久井さん」
「親にはどう伝えているのですか?」声をこわばらせながら言った。
「交通事故と説明しています。まあそこで反対意見の人間は抹殺しましたが。」
皆の顔が青くなるのが分かった。例の2人を除いて。
次は江井原が手を挙げた。
「では、江井原くん」
「優勝特典はなんなん?」
皆、一斉に江井原をにらんだ。江井原は微動だにしない。
「優勝者には総統のサイン色紙と人生一生保障が付いてきます。」
「ほかになにかありませんか?ないようなのでゲームを始めますよ。」
立花は心の中で決意した。
(絶対にこいつら(政府)を許さねぇ!俺がこんなクソゲームぶっ潰してやる!!)
柳生 美穂(女子8番)も決意を固めた。
(あたし、あいつに負けっぱなしでは死ねない!絶対に!!)
武車、和久井は以外にも同じ考えをしていた。
(俺(あたし)、あの人に気持ち伝えなきゃ。神様、それまで生かしてください。)




            
死の歯車は回り始めた。その歯車は狂うことを知らない。



【残り20人】


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