■第一部■ 学校編 - 2 - 何気ない毎日






立花 陽平(男子7番)武車 健太(男子10番)と共に
問題児? 
江井原 大輔(男子3番)をさがしている。
(確かやつはあの大きい木か屋上にいるはずだな)
立花は何回(何百回)もこの仕事を任されているので江井原のだいたいの居場所が分かるのだった。
今は大きな木のほうへ向かっている。
「しかし陽ちゃんもいつもこんなことさせられて大変だな。」
「いや、もう慣れたよ。いつものことだ。」
二人は江井原への愚痴を言いながら大きな木に到着した。
一人寝ている少年がいる。どうやら
五十嵐 慶吾(男子2番)のようだ。
「江井原見なかったか?」
立花はおそるおそる聞いてみた。
「ここには来ていない。」
五十嵐の低い声が聞こえた。
「そうか、ありがとな。」
「礼を言われるような事はしていない。」
(ひゃ〜怖ぇ〜!陽ちゃんもよくこんなやつと話できるよなぁ)
武車は心の中でそう思った。
立花はまた歩き始めた。
「健ちゃん、次は屋上に行くぞ。」
「えぇ!?また階段登るの!?陽ちゃんいつもあいつ探すのに歩きまわってるの?」
武車は返事が分かりそうな質問をした。
「もちろんそうに決まってるじゃん!」
立花はさらっと答えて走りだした。
「早くいくぞ」
「わわっ、ちょっと待ってくれ〜」
 その時、立花はドンッとだれかにぶつかってしまった。
「痛ぁ〜」
「あっ、ごめん。」
立花は何者かを確認した。
相手は立花と同じ剣道部の女子 
柳生 美穂(女子8番)だった。
「ごめん、今やつを捜索中だからちょっと急いでいて・・・本当に悪かった」
「また江井原かい?ほんと人騒がせなやつ」(お前は学校遅れてきてるだろうが!)
と武車は思ったが口に出さなかった。なぜなら、剣道全国2位の立花を負かすことができたのは柳生だけらしい
(噂によると1回だけらしいが・・・)
「いこう。健ちゃん」
「お、おう!」
「今度からは前見て歩けよ」
「分かってるって!」
2人はまた走りだした。

 屋上につくとやはり江井原はいた。ライオンのたてがみのような髪型をした。碧眼少年はベンチに座りながらなにかをしているようだ。
「おい、大輔!」
江井原は人が来たことにやっと気付いた。
「あっ、委員長はんと武車はんやん。どないしたん?」
江井原は焼きソバパンをかじりながら答えた。パンの袋には「ベーカリー鷹山」と書かれてある。
「んん?それって 
鷹山 空(女子1番)の店の焼きソバパンか?いいなぁ、俺が行く時にはいつもなくなってるのに。」
武車は羨ましそうにパンを見ていた。
「なに言ってるんだよ。健ちゃん。大輔の家は鷹山の家の隣なんだから買えるに決まってるだろ。」
立花は少し呆れたという顔で答えた。
「え?そうだったけ?すっかり忘れてたよ。そんなことよりちょっとくれよ」
「えぇ〜 今日の朝飯はこれだけやねん。ちょっと勘弁してやぁ」
「そうだよ健ちゃん。大輔は1人暮らしだから家計も大変だと思うしね。」
「ああっ!?委員長はんそれはいわへん約束やったはずやでぇ。でもほんまの話やからええけど。でも親もせめて高校いけるくらいの金を残しといてもええと思うねんけど」
「ええ!?両親不在!?
       江井原は高校いかないの?やっぱり仕事探すの?」
「まぁ、一応そう考えてるなぁ。でも定時制の学校も考えとうねんけど、やっぱ大変やわ。ってこんなおもろない話はやめよかぁ。そろそろ授業やろ?ほな いこかぁ〜」
江井原は少し眠そうな顔でそう言った。
 結局、今日も1日江井原は睡眠という行為で全ての授業をボイコットした。
(こいつ、学校に何しに来てるんだぁ?)と武車は思った。
「では、今日はここでおしまい。立花、号令を」
「気をつけ、礼!」「ありがうございました!!」
授業が終わり部活に参加する者、帰宅する者。
立花は委員長という仕事上最後に教室をでるのでクラスの大体のようすが分かる。
江井原はいつもどうり帰宅するようだ。聞く話によるとなにか仕事をしてるらしいが何をしてるまでは分からない。
武車は3年生で唯一の射撃部だ。本人曰く「俺はあんまり得意じゃないんだ射撃」らしいが・・・
二宮兄妹(実は双子だそうだ)はいつも一緒に部活に行くみたいだ。
どちらもバスケ部で歌音のほうはマネージャーを務めているらしい。
鷹山は早く家に帰ってパン屋を手伝っているようだ。
松元 和也(男子9番)佐々木 守(男子6番)は野球部で黄金バッテリーで松元はピッチャーで佐々木がキャッチャーだ。
五十嵐も野球部だが彼らとは一緒に行動してないようだ。たしか、セカンドを守ってると聞いたことがある
(実は俺はあんまり野球をしらない)
川村 安武(男子4番)山下 達也(男子11番)は柔道部だが川村は少し身体が小さいのでそうは見えない。
山下はそれなりの体格してる。
藤林 陸(女子4番)は陸上部で女子の中では一中ナンバー1の脚といわれているらしい。
成本 愛子(女子2番)前田 菜々子(女子6番)武藤 瑠璃(女子7番)は吹奏楽部だ
(この学校では吹奏楽は人数割れしていろようだ)
冬野 美春(女子5番)和久井 優子(女子9番)は詳細不明だ。
この二人は全然雰囲気がちがうからたぶんつながりはないだろう。
いつも最後までいるのは柳生と
小宮山 大吾(男子5番)だ。柳生はたぶん同じ剣道部の俺を待っているのだろう
(一緒にいくのかまわないが更衣の時間は大丈夫なのだろうか?というより俺はこの娘に1回負けてるし)
小宮山はいつもノートPCでなにやらしている様子だ。
「あっ、ごめん立花。後で僕が教室閉めておくから」
立花は結局柳生といくことになった(はぁ〜)
(そういえば、そろそろ修学旅行の時期だな。今年はどこにいくのだろう)




 
行き先はもうとっくに決まっている
 それはプログラムという死へ架け橋だ




【残り20人】


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