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「2日目午前0時だぞぉ!禁止エリア、発動!次回はA5〜8、B5〜8だ!犠牲者0人、お前らやる気あんのか!?さっさと殺せよ! もう俺も疲れてるんだ。まあ夜が明けたらまた死んでいくと信じてるぜ。」 ぶつっと乱暴な音をたてながら放送は終わった。 「若村さん、メモした?」 「完璧にした。死んだ人がいなくてよかった・・・本当に。」 「そうだね。」 赤田 結衣(女子1番)は返事はしたものの気持ちは他の事でいっぱいだった。 氷神 純也が若村 珠実(女子13番)と戦闘の後にいきなり倒れたのだ。 今も息は荒く非常に苦しい表情をしている。 「大丈夫かな?」 「それ何回聞いた?もう耳にたこが出来るぐらい聞いたよ。」 「だって心配なんだもん、1時間ずっとこの状態なんだもの。」 「そうだねぇ、こいつに何があったんだろうね。起きてからじゃないと分からないけど。」 とその時純也の目が開いた。さっきは瞑っていた右の目ほうだ。 「純也くん!大丈夫!?」 純也はきょとんとしている。 「ねぇ、赤田さん。こいつちょっと様子がおかしくない?」 それは結衣も気がついていた。 さっきから純也は目を絶え間なく動かしていて、どうも落ち着きがない。 さっきは瞑っていた右目を開けて、逆に左目を閉じている。 純也はいきなり立ち上って軽くのびをして言った。 「あなたたち誰?ここ何処?」 珠実も結衣も唖然とした。 「純也くん?どうしたの?」 「純也ぁ?あたしは亮子。桜井 亮子よ。」 「あ〜あ、ついに狂っちゃったみたいよ、赤田さん。」 「若村さん、ちょっと待って。まず話を聞こうよ。」 とりあえず2人は落ち着くために深呼吸をした。 結衣から話を切り出す。 「あなたは氷神 純也だよね?」 純也は答える。 「う〜ん、もしかしてあなたたち純也から何も聞いてない?」 「え?それはどういうこと?」 「やっぱり話してなかったかぁ・・・面倒なことになったねぇ。」 純也は「どこから話すか」とか独り言をぶつぶつと言い出した。 珠実はじっと黙っている。どうやら聞くことだけに専念するみたいだ。 純也は手をポンと叩き、切り出した。 「本当に純也からなにも聞いてない?」 「私は何も聞いてない。」 「じゃあ長くなるけど聞いてくれる?」 結衣はうなづいた。 「実はね、純也は3重人格なの。この氷神 純也の身体の中には 「純也」 「水姫(みずき)」そしてわたし「亮子」の3人が共有してるの。 私たちは人工的に3重人格されたの。私たち3人は元々は別々の身体だったんだけどある実験で3人の人格を1人の中に埋め込んだの。 そして今にいたるんだ。分かった?」 結衣はまだ理解していない様子だった。 桜井 亮子と名乗る氷神 純也は 「ああもう!純也が話さないから面倒なことになっちゃったじゃないの!あ〜分かった、今から私たち3人のこれまでについて話すからよく聞いて。分かった?」 結衣はもう何がなんだが分からないままうなづいた。珠実は相変わらず黙ったままだ。 5年前、私たち3人は政府の中でも極秘の研究の「材料」として政府の研究室連れてこられた。 他の人からも聞いたけどほとんどの人が大金を前にした親に売られたらしいの。 当時あたしは22歳、純也ともう一人の水姫は11歳だった。 あたしの試験体番号は665、純也は666、水姫は667。 これでいままでの犠牲者の数がよ〜く分かるよね。 最初の実験で私たちは脳移植されたの。 見事成功で私たちは違う身体を手に入れたわけ。 その後私たち3人はその身体で自由に動けるようになるまでリハビリを受けたの。 もう「両親が何故あたしを売ったのか。」なんて考える間もなかったよ。 その後3人は同じ部屋に入れられたんだけど意外に気が合ったんだ。 試験体同士が仲がいいってのはその研究所では珍しいことだったんだって。 でも、だんだん気付いてきたんだ。純也がおかしいってことがね。 リハビリも3ヶ月ぐらい経った辺りの時なんか 「壊したい、何もかも。」とか独り言言ってるぐらいだったもの。 あたしはそれをある女研究員に話したんだ。確か名前は・・・青柳だったかな? 研究室では「狂人」って呼ばれてて、なんかアインシュタインを越えるIQだとか色々噂されてたわね。 またその返答にはビックリしたよ。 「666の子の身体は特別製だ。なんていったて悪魔の数字の試験体だからな。ちなみに俺が作ったんだ。」 まあ純也も部屋にいる時は普通だったけどね。 半年後には私と水姫はちゃんと動かせるようになったけど・・・純也は違った。 純也は私たちより先に新しい身体を操れていて、戦闘訓練っていうのを受けていた。 私たち2人はもっと身体が順応するように普通の生活を送っていたけど純也はいつもその訓練ばっかり。 部屋に帰ってきたと思えばすぐに寝ちゃっていたわね。 後で手にした情報だけど純也は人間兵器にされるみたいだったんだけど欠陥が見つかったからダメだったんだって。 そして1年後に運命の時がきたの。 私たち3人の番号が呼ばれてそのまま実験室に連れて行かれた。 この時にはもう意識はなかったわ、きっと麻酔でもかけられたのよ。 そして私が目覚めた時は外の世界にいた。 この純也の身体の中にね。それと胸ポケットに手紙があったの。 純也は私たちがある実験によって3重人格にされたことを知ってたみたい。 手紙にはその内容とこれからも手紙だけだけど連絡を取ろうというのは書かれていた。 「まあこんな感じ?あたしあんまり人と話しない性格だから教えるのが下手なんだけどこの3人のなかでは1番頭はいいわよ。」 結衣は少し理解できてるようだが納得は出来ていないらしい。 珠実は寝てしまってる。 「つまりあなたは氷神くんじゃないのね?」 「そうよ、桜井 亮子。今年で27歳よ。どうやら純也はあなたたちと行動してみたいだけど、あたしとも行動する?」 「そうしてもらえると嬉しいです。」 「純也にまた会いたいから?」 「い、一応約束があるので。」 「どんな?」 「私を守るって。」 「あたし今どういう状況に置かれてるかまったく分からないんだけど。」 結衣はできるだけ簡単に今の状況を話した。 亮子は顎をすりながら、 「なるほどねぇ・・・分かった、純也がそういう風にするって言ってるんだからあたしもそうするよ。純也がそんなことするの初めてだもの。」 「どういうことですか?」 「いやぁ実は純也ね、戦闘訓練っていうのをしてる時にね大きな事故にあったんだ。その時に人間の活力でもある「欲望」をちょっと無くしちゃったんだ。幸いにも全部なくなったわけじゃないから大丈夫なんだけど・・・三大欲求でさえも削っちゃったんで食べる量も少ないし、睡眠量も半端じゃなく少ない。もちろん○的な欲求もね。」 「でも氷神くんは・・・」 「どうしたの?」 結衣は亮子の耳下で囁いた。 「ええ!?純也がそんな約束を・・・もしかしたら戻ってきてるのかもしれないね昔の姿に。赤田さんだっけ?よかったらこれからも純也のこと見てやってね。」 「は、はい?」 「さあ、赤田さんは寝なさい。そこの女の子も可愛い顔しながら寝てるでしょ。見張りはあたしがやるから。」 「で、でも。」 「だいじょ〜ぶ、この純也の身体があれば百人力いや、百万力だからね。」 「亮子さん。」 「何?」 「お休みなさい。」 「ああ、お休み。」 結衣は安心しきった顔でその小屋にあるベットに伏した。 亮子は結衣が伏したのを確認すると内側にある胸ポケットから2つの手紙を出した。 差出人は「氷神 純也」と「川村 水姫」だった。 亮子は嬉しそうな顔でその手紙を読んだ。 自然と涙がこぼれて手紙に乗っかって滑り落ちた。 |
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