|
|||||||||||||||||||
峯田 義信(男子10番)はずっとある人物を探していた。 歩のメンバーもその人物であったが自分にはもっと大事な人物がいた。 それは上田 加奈子(女子2番)だ。 先週末に峯田は告白を受けていたが、まだ返事をすることができなかったのだ。 この修学旅行で返事をしようとおもっていたがこんな事件に巻き込まれたためにそれどころではなくなっていた。 しかし、峯田はどうも返事をしないとけじめがつかないと思った。 だから返事をした後、歩たちと合流する道を選んだ。 もう返事は決まっている、後は見つけるだけだ。 ただこの広い島の中から見つけ出すのは容易くない、常に危険が漂っている。 峯田は走り続けた、彼女を探し出すために。 だが、昨日からずっと走ったり休んだりの繰り返しで体力の限界も近かった。 またも峯田は座り込み、息を整える。 (くそ、なかなか見つからない。今でも彼女は危険さらされているっていうのに。) ぼぉ〜と前を見ていると木々の間に人影を見つけた。 今は2日目午前4時でまだ明るくはないがその姿を峯田ははっきり捉えた。 峯田はもう限界に近い身体を無理に起こして彼女の方へ向かった。 「上田さん!峯田だ!君の後ろにいる!」 加奈子は驚いたようにこちらに振り返った。 「みねさん!?みねさんなのね!」 加奈子も峯田のほうに走っていった。 ここはF3の森林地帯の中だから2人とも走るのはぎごちなかった。 そして2人は再会を果たした。 峯田は膝に手を突きながら息を整えようと必死だった。 「はぁ、とうやく、はぁ、追いついた。」 「よかった、峯田君が無事で。」 「俺もさ、君が無事でよかった。」 二人の会話は少しの間中断した。 峯田の息が整った。 「ふぅ、いきなりだけどあの返事しておく。」 加奈子はこくりと頷く。 「正直こんなことになったからどうしたらいいか分からない、でもまだ時間は残されていると思う。だから俺は何もしてやれないけど君の 傍にいてあげることはできそうだ。俺は最期まで君の傍にいることにするよ、もういつものメンバーを探したりもしない。」 「いいの?私なんかとそんなことで最期を迎えるなんて。」 「うん、だって俺は君のことが好きだからさ。最期まで傍にいてあげる。」 「ありがとうみねさん、ありがとう。」 加奈子は泣き出した。 峯田はさりげなくハンカチを渡した。 「泣かないで、俺は涙も嫌いじゃないけど君の笑顔の方が好きだからさ。」 加奈子はハンカチを受け取って顔を拭いた。 そして作り笑いだがしてみせた。 峯田にとってそれはとてもありがたいことだった。 この雰囲気の中で作り笑顔であっても無理にやってくれこと。 峯田は加奈子を抱きしめてあげた。 加奈子はいきなりのことだったのでびっくりしてさらに鼓動が速くなった。 峯田はクラスで一番身長が高く、加奈子はクラスで3番目に低い。 だから加奈子の頭の位置は峯田の胸の辺りだった。 (みねさんの鼓動が聞こえる、とっても温かくて速い。みねさんも私と同じなんだ。) 加奈子はすごく安心した、幼きころの父親を思い出した。 加奈子の父は3歳のころに他界していた。 (そうか、私はみねさんに父親像を抱いていたんだ・・・きっとそうなんだ。) そんなこともつかの間、森の向こう側から声と銃声が聞こえた。 「てめぇ、なぜここに!?うわぁ〜。」 「あんた私の邪魔するつもり!?み〜んなあたしが殺すんだから!!死ねぇ!!」 銃声がまた聞こえた。 2人は何が起こったのか分からなかったがはっきりしたことがあった。 (誰かがやる気になっている!) 危機を感じた2人は走り出そうとした時、声をかけられた。 「おお、みねさんと上田さんじゃん。俺だよ吉村だよ。」 みねさんはその言葉に変なものを感じたが振り返った。 そこに立っていたのは吉村 涼(男子13番)だった。 涼は歩メンバーの一員だ、いつもいたずらをしては皆で騒いでいたやつだ。 「りょうか、出会えてよかったよ。」 「俺もだ。じゃあここで、」 涼は隠していた右手から銃を取り出して構えた、AK47だった。 「2人仲良く死んでくれ。安心しな、死んだら海に流してやるからよ。」 銃声が聞こえたときにはもう2人は遅かった。 2人の死体が一瞬だけ浮かんで倒れた。 ショックによる即死だった。 2人並んで死んでいる。 「おう、良かったな。2人一緒に死ねてよ。俺も罪だねぇ、歩と一緒ってことで誰も油断しやがる。」 涼は2人のカバンを漁ったが出てきた武器はアイスピックとバタフライナイフだった。 (ち、あんま使えない武器だな。まあけん制用ってことでもらっときますか。) 涼は両方を腰に挿した。 (そういえば、殺人鬼2人の武器も回収しないとな。) そう、さっきの銃声は涼のもので殺したのは山本 宏(男子12番)と栗山 奈央(女子4番)だった。 どちらもこのプログラムで正気を失った殺人鬼である。 涼はさらに山本と栗山のカバンと身体を物色した。 銃を2丁も見つけた、ベレッタM92Fとグロック17だ。 (おお、これは大当たりだ。さすが殺人鬼は持つ武器が違うな。) 涼は立ち上がって不敵な笑みを浮かべた。 これで4人殺したな、殺人鬼2人とカップル1組。 ははは、人を殺すって気持ちい〜なぁ・・・やべぇ、俺もイっちまいそうだな。 さっきの2人が殺人鬼なら俺は「死神」だ。 俺に殺せないものはない。 涼は武器をフル装備してまた歩き出した。 ここに新たな殺人狂が生まれた。 |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
COPYRIGHT © 2004-2005 an evening calm. Blue ALL RIGHTS RESERVED. Since 1, july , 2004 |