リベリオン編7
― 日没 ―
今日は明日の決戦に向けての作戦会議の日だ。皆緊張しているようだが陽平は意外と落ち着いていた。
カズが皆を集合させた。会議の始まりだ。

<作戦会議>
「おはようございます、皆さん。さて明日は政府との最終決戦なのですが、ここで一つ言っておきます。逃げ出すなら今のうちですよ。
今ならまだ抜け出すことができます。抜けたい人は出て行ってもらってかまいません。」
誰も出て行こうとしない、ただカズを睨みつけるように見ている。
「そうですが、では全員参加ということでいいですね。さっそく作戦について会議しましょう。サカキこちらへ。」
サカキがホワイトボード前に立った。ホワイトボードにはもう内容が書かれてある。
「さっき配った紙を見てください。これは現政府TANAKAの総理が住んでいる家の上空写真を簡単にしたものです。@〜Cの番号がふってありますがこれがそれぞれの殲滅場所。そしてL字型のものが総理の住む館です。たて500メートルよこ600メートルの長方形型土地で出入り口は東と南の2つしかありません。私達の目的はこの主の殲滅です。主の殲滅の確認が出来次第、皆さんには退却してもらいたい。その後の処理はカズがスポンサーとしてスカウトした団体にまかせてもらえばいいので。皆さん全員の生存も大事な要素です。戦闘員はカズ、健太、海、凛、古芳、フェンリル、ゼット。私とノブはここから指示を出す。一ノ瀬さんは今回は現地にいくことはできないので、それとリーダーと美穂さんには違う役目があるので後ほど。頭の悪ぃ人でも分かるように簡単に説明しますね。
@は海と凛チームで殲滅してくれ、言い忘れてたけど青柳さんグループから1チームに20人の助っ人を呼んでいますので大丈夫ですよ。
Aは健太チームで殲滅してくれ、高台をうまく使ってきりぬけてくれ。
Bは古芳チームだ、あんたの戦闘経験を買ってここにいるのだから奮闘してくれよ。
Cは一番広いエリアだがフェンリルとゼットでがんばってもらいたい。ここにはCHILDRENのメンバーがいると思います・・・つらい戦いとなるでしょうががんばってくださいね。
@〜Cはあくまで引き付けの役目です。カズが混乱の隙を見て館に侵入して総理を撃破する。
あまり時間をかけてはこちらが不利です。短期戦で終わらせましょう。作戦開始の指示はこちらから出します。
助っ人は今晩にもこちらに来るようなのでチームのことは各員できめてくれ。
あなたたちの武運を祈っています。リーダー、美穂さんこちらへ。ほかの皆さんはそれぞれの準備にかかってください。」
陽平と美穂以外のメンバーは真剣な顔つきで自分部屋に戻っていった。
「リーダーと美穂さんには違うことをやってもらいます。」
「あたいらは何をすればいいんだ?」
「プログラムの停止だ。」
「!?何だと!プログラム?」
「そうだ、実はもう今日から始まっている。大神中学の生徒がいまもう巻き込まれているようだ。すぐに助けてやりたいのは山々なのだがこちらにも考えがあるから明日から向かってくれ。さっきと同様、その後のことはこちらから指示する。」
「どこで行われているんだ?」
「・・・夢の島だ、何の因縁か分からないがここでするらしい。陽平、ここで取り戻して来い。お前が失ったものをな。」
「上等だ。ね、柳生さん?」
「ああ。」
「そうか、じゃあ頼んだよ。もう犠牲はいらないんだから、陽平の作る未来には犠牲がないことを祈るよ。」
サカキはそういうとPCに釘付けになっているノブのほうへいってしまった。
夢の島・・・夢を奪う島に陽平と美穂は向かうこととなった。失ったものを取り戻すため、犠牲を無くすため。

<出発>
朝、陽平が起きると皆が外で待機していた。
青柳グループのメンバーも勢ぞろいでリベリオンズのアジトは人でいっぱいになっていた。
陽平は台の上に立った。
「皆、これから厳しい戦いになると思う。でも、こんな言葉がある「5倍までの戦力差は十分補える」と。俺達はやつらより数は少ないかもしれない。だが、俺達には信念がある!俺達は負けない!いや、負けられない!皆、生きて帰って来い!そして、この国を再興しよう。
もう犠牲などない平和な世界を取り戻そう。リベリオンズ作戦「青空」今から開始する!」
皆が大きな歓声を上げた。そしてそれぞれの車に乗り込んでいった。陽平が車に乗り込もうとしたときゼットがこちらに向かってきた。
「忘れ物ですよ、リーダー。」
ゼットは刀を3本陽平に渡した。
「僕の現代最高の技術を使って作り上げた最高傑作だ。木の刀は美穂ねえさんのやつだ。後の二本は名刀村正と正宗をモデルとして作っています。僕からできるのはこれくらいですが武運を祈っています。銃も渡しておきます、コルトガバメントをカスタムしたものです。通常のものより連射が可能です。これは1つづつです。」
「ありがとう。フェンリルはエネルギー満タンか?」
「それはもう入念に手入れもしましたからね。ああ、もう時間です。」
「絶対死ぬなよ。」
「フェンリルが守ってくれますので大丈夫です。」
ゼットはその時出せる最大限の笑顔を作って車へと走っていった。
陽平は最後まで見守ってドアを閉めた。美穂が話しかける。
「それは?」
「これは柳生さんの刀でこれが銃だ。最後にゼットが渡してくれた。」
「これはなかなか・・・軽い。仕込み刀みたいなものだな。」
「そうだな。」
「あんた、大丈夫かい?」
「何が?」
「またあの島に行くことになる、あたいはそれが心配だって言ってるの。」
「正直心臓がはじけそうな状態だ。あいつのことがより鮮明に浮かびやがる。」
「そうか・・・」
美穂は陽平の頭を抱えるようした。
「柳生さん?」
「しばらくこうしておいてあげるから落ち着くんだよ。今のあたいにはあんたしか頼ることができないんだから。」
「ありがとう、俺言いたいことがあるんだ。」
「それはこれが終わった後に聞くことにするよ。」
(うっ、ばれているのか?)
運転席の男が言った。
「おあついですね。」
「ぶつよ。」
運転席の男は急いで前に向き直った。

<港>
「リーダー、着きましたよ。」
「ごくろうさん、君はもう帰っていいからね。」
「分かりました。作戦の成功を祈っています。」
車は港を出て行った。陽平たちは政府の軍服を着て船の近くに行った。
「ご苦労様です。身分証明書を提示してください。」
陽平と美穂は証明書を見せた。
「今期新入隊員ですか。プログラムの仕事は初めてでしょう?がんばってくださいね。」
2人はうなづき船に乗り込んだ。
(うまくいった。さすがカズの作った偽造証明書は違うな。)
2人はそのまま船に揺られること2時間、島が見えてきた4年前仲間達を失った場所だ。

(皆見守ってくれ!俺は再び戻ってきた、今度は争いを止めるために!)

西暦2014年 9月10日の事であった。

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