リベリオン編1
― 朝焼け ―
どこかの大きなお城のような窓から朝焼けを見る一人の男がいた。
名は「
立花 陽平」19歳。現在(西暦2014年)世間を沸かせる犯罪グループ、通称「リベリオンズ」のリーダーである。
家の事情により幼いころから剣術を習っていることからかなりのウデの持ち主であり、二刀流である。
今の現時点において二刀流を修得しているのはこの世に2人しか存在しない。彼と彼の祖父である。
何故そんな男が犯罪グループのリーダーをしているのか?それは彼らにしか分からない。
ただ言えるのは何かしら目的があることに違いは無い。そして彼らの目的は大きくてとても危険である。
そこにまた男がやってきた。名は「
武車 健太」同じく19歳。
彼もまたリベリオンズの一員である。スナイパーライフルのウデなら右に出るものはおそらくいない。
狙った獲物は逃がさない。そして容赦なく射殺する。彼にはある「誓い」があるからだ。『もう殺させない』
「早いな。まだ5時半だ、眠れないのか?」
「いや、もう十分睡眠はとってある。今日は何故か日の出が見たくなってな。」
「それはもう明日には拝めそうにないからか?大丈夫、心配ない。俺達がついている。」
「いや、そういう意味じゃない。」
「じゃあどういう意味だよ。」
陽平は答えに戸惑った。日の出を見ることに意味などあるのだろうか?
本当に特に意味はなかった。早く起きたのでただここに見に来ただけである。
「・・・そう。忘れないため。あの時のことを。きっとそうだ。」
「きっとそうだって他人事みたいに。そんなに江井原を殺したことから離れられないのか?」
江井原 大輔、陽平が初めて殺めた人物の名前だ。そうこの人物がこの復讐劇の始まりであり、あの悲劇の終わりである。
彼の心臓に剣をつきたてるシーンが未だに鮮明なビジョンとしてよみがえることがある。あの出来事が未だに陽平を縛り付けるのだ。
しかしリーダーがそんな弱気ではこのチームも総倒れしてしまう。だから陽平もある程度耐えているのだ。
でも耐え切れなくなった時助けてくれる仲間がいる、そのおかげでここまで来れたとも思っている。
「確かに忘れることはできないがそれを克服することはできる。健ちゃんのおかげでね。」
「よく分かってるじゃないか。なぁ?覚えているか、俺達がここまでどうやってきたかを。」
「ああ、覚えてるぜ。それはもう今でも鮮明に覚えてるよ。これだけ仲間集めに苦労したことはないよ。」
「それはいえてるぜ。」
『はっはは』と二人は笑い合った。

<3年前(PG終了1年後)>
ある田舎町の一軒家に4人の人間が住み着いていた。その中の一人は和風感じのある女の子である。
その女の子の名は「
柳生 美穂」彼女は洗濯を干しながら近所のおばあさんと話をしていた。
おばあさんが別れを告げた後、陽平が家から出てきて美穂に話しかけた。
「1年間一緒に暮らしてるけど柳生さんって、けっこう家庭的なんだね。」
「けっこうは余計だ。柳生家は昔から女の子は家事と剣の両立が義務、それが掟。」
「そんな掟に囚われて大変だったんだね。」
「最初からそうだから別に気にしていない。あたいはあんた達とここで暮らす方が大変さ。」
陽平はギクッとしてしまった。確かに家事は美穂に任せてあるのは事実だったので陽平は言い返すことができないのだ。いつも快く家事をしてくれる美穂には感謝以外はなかった。それに比べて陽平と健太と井上先生は毎日どういったことを今後行うかを検討してばかりであった。
「で、結局今後の方針は決まったの?いつまでもこんな平和な場所にいると復讐心もなくなってしまいそうだよ。」
「それに関してはもう大体の道筋はたっている。あとは仲間と資金を集めないといけない。」
「仲間?資金?これまたすごいことするみたいだねぇ。」
「当然さ。俺達がしようとしていることにはそれに必要な精鋭たちとそれを支える多大な資金が必要だ。」
「分かってる。あたいらを地獄に突き落としたあいつらに一発おみまいしてやりたいしね。」
「ああ、そうだな。」
二人は空を見上げながらかつての友達の顔を思い浮かべた。

その日の夜彼らはいつもの部屋に集まった。今日はいつもと雰囲気が違っていた。そろそろ具体的なことが始まるそうだ。
4人がちょうど座れるテーブルに皆が腰掛けて会議の態勢に入る。井上先生から口を開けることとなった。
「ついに決まりました。ここからが本当の戦いでもあります。運が私達に味方しているか、それがとても重要な要素になります。これからは運との戦いになるでしょう。もし1回でも運が逃げてしまえば私達は一生をここで平穏に過ごすことになるでしょう。さて前置きはこのくらいにしておいてさっそく本題に入りましょう。よろしいかな?」
他の3人は無言で頭を縦に振った。
「ではまず1つ、これから戦うにはそれなりの戦力が必要です。それぐらいは君達にも分かるでしょう。私達4人で政府に立ち向かうにはかなり無理があると思われます。なにせ相手はCHILDRENといった少年・少女を使った軍隊や母国自衛軍といった戦闘部隊がいるからです。そこで君達3人には今から3年の間に仲間を集めてもらいたい。しかし、数はいりません。100人の兵士を集めるより一騎当千の猛将を数人集める方が私達の行おうとしている作戦には向いているからです。作戦というのはその時が来たらお話しましょう、今話しても運が味方しない限り意味がないからです。集めてもらいたい逸材は策略・・・いかに有利に進めていくかを考えれる人物がほしいですね。私一人ではやはり限界がありますから。
救護・・・つまり怪我の治療や医学の知識を豊富に持っている人物です。こういた人物がいないとせっかくの一騎当千も役に立たなくなりますからね。
武器・・・武器に対して知識がある人物もほしいですね。その人物に合った武器を使うことによって有利に展開を進めれるかもしれませんですしね。さらに武器を入手することによって戦力のUPも図れますから。
情報・・・私のようにPCのスペシャリストみたいなのがいれば見つけてもらいたい。やはりバックアップは大切ですから。
あとは兵士です。さっきもいったとおり数はいりません。一騎当千の猛将が必要です。しかしこういった人物はそう簡単には見つかりません。だからあなたたちに3年の時間を与えましょう。一つ目の運はいかに逸材を見つけられるかです。
次に2なのですが、これは私一人ですることにしました。資金集めです。私は外国にスポンサーを頼み込んで資金を調達しようと思っている。今、外国にはこの国と外交を結びたいと思っている国が多く存在する。そこで私達がこの国を解放すると促すのです。そうすればスポンサーになってくれる国もあるかもしれない。なかなか君達には難しい話かもしれませんが私に任せておけばいいです。つまりこれが2つ目の運、スポンサーがつくかどうか。ですね。では、君達の意見を聞こう。」
陽平が口を開いた。
「今から3年間やることは分かった。しかし、そんなすごい人物の情報をどう手に入れればいいんだ?俺らだけでは大変そうだ。」
「それは君達ががんばるしかないのじゃないかな?私もこれから3年間世界を飛び回らないといけないしね。言っておくけど今なら後戻りできる。これからここで平穏な日々を4人で暮らす。それだけのことだ。それに君はリーダーとなるべき存在なんだよ、そんなことではこの先も思いやられるよ。君はもう迷わないのだろう?彼らの未練を晴らすと決めたのだろう?じゃあ自分の道は自分で切り開かないとだめだよ。」
「分かっています、先生。俺はもう・・・あいつのような人間を増やしたくない。あいつのような人生を捨ててしまうやつを。」
「皆も天国で君達を見守っているはずです。さあ、明日からさっそくですよ。あともうひとつ言っておくと「先生」はもうやめてほしいな。
わたしはもう君達の仲間なのだから「カズ」と呼んでもらってけっこうだよ。ではお休み。」
カズは1回背伸びをしてそのまま自分の部屋に戻っていった。
部屋には3人だけが座っていることになった。健太が自分の部屋のドアを開けながら言った。
「なんか壮大な戦争映画みたいになっちまったな。でもそれが俺達が選んだ道なんだよな、陽ちゃん?」
「ああ、そうだな。」
「俺眠くなったから寝るぞ。明日からがんばろうぜ。」
健太も部屋に戻ってしまい、部屋には陽平と美穂だけになってしまった。
陽平はさっきから俯いたままであった。美穂も何故かは分からないがそこを離れることができなくて座ったままであった。
そんな時陽平が急に美穂に抱きついた。どちらかというと縋ったといったほうが正しいかもしれない。涙を流しながら陽平は口を開けた。
「こんなことして悪いとは思っている。でも、ダメなんだ。あいつがいつも俺の夢に出てきて幸せそうな顔で俺に殺されるんだ。俺はあの時からおかしくなってしまった・・・ごめん、しばらくこのままでいさせてくれないか。」
陽平はさらにギュウと抱きしめた。それは泣き疲れた子供のような姿だった。美穂はどうしたらいいのか分からずそのままに姿勢でいるしかなかった。
その会話を健太は聞いていた。健太は思った。
(たまには男だって弱みを見せていいだろう。でも俺はそんなことはできない。あの誓いにかけて!)

もうお前は汚れなくていい、その仕事は俺に任せて自分の道を進め!
俺は・・・もうお前に殺させない!
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